アイルランドの厳しい道のり

アイルランドの厳しい道のり

アイルランドにとって2010年9月30日は「ブラックサーズデー」となった。その日、アイルランドのブライアン・レニハン財務相は、同国の銀行部門救済には最終的に500億ユーロの公的資金が必要になると発表した。記者はその朝、ダブリン空港から乗ったタクシーのなかで、国営ラジオ局RTEが伝える財務相の説明に耳を傾けた。今般の発表は、金融危機に歯止めをかけ、銀行界が以前の輝かしい状態に戻るための第一歩になるということだった。

 

タクシー運転手は財務相の説明に首を振りながら、不意に記者に話しかけてきた。運転乎によると、政府の政策の過ちと国民の政府への信頼の失墜を象徴する出来事が2週間前の土曜日の朝に起きていたというのだ。

 

ブライアン・カウェン首相はラジオ番組に出演したが、どうも酔っぱらっていたようで、時々ろれつが回らなかった。「クロークパーク合意(政府と公務員労組の賃上げ凍結合意協定)Jのことを「聖金曜日協定(イギリスと北アイルランド間の和平合意)」と言い間違えたという。もちろん、カウェン首相はその後、酔っていたことを否定し、そのような指摘を「馬鹿げているjと一蹴した。真偽のほどは別にしても、アイルランド経済の命運という全体的な文脈からすれば、「パンチトランク(頭を強打されてフラフラになった)」状態というのが、適切な表現と言えそうだ。

 

一時は急成長を謳歌し「ケルトの虎」と羨望され、小国ながらも意欲的な諸国の模範生とみられていたアイルランド経済は、2007年末から下降スパイラルに陥った。 GDPは最盛期から13ポイント以上も落ち込んだ。失業率はリーマン・ブラザーズ破綻時点の4.5%という低水準から14%近くまで上昇した。アイルランド国内の銀行の資金繰りもリーマン危機以降悪化し始めた。アイルランドの政府債務総額はその後3倍近く膨張し880億ユーロになり、2014年までには1500億ユーロに達する見込みである。

 

一方、3年連続となった緊縮予算で、GDPの5%に相当する公務員給与の削減が敢行された。しかし、アイルランドが依然として引き潮に逆らって岸に向かって泳いでいる状態には変わりはない。過去数週間で国債10年物の金利回りは9%近くにまで上昇した。これは、アイルランドがユーロを導入して以来、最も高い水準である。アイルランドには2011年6月まで金利の償還期限を迎える国債はなく、2008年に設立された220億ユーロの予防基金のおかげもあって、債券市場で再び借り入れを行うまでの間の時間稼ぎはできる。

 

債券・金利市場では、アイルランドを厳しい運命が待ち受ける

債券市場では、アイルランドの運命は2010年11月下旬発表の財政再建4ヵ年計画の中身が市場の信頼を得るかによって決まるとみている。それより先の10月、レニハン財務相は、450万の人口を抱えるアイルランド経済を待ち受ける厳しい現実を提示した。財政赤字をGDP比で現在の12% (銀行救済資金を含めれば30%)から2014年に3%とするためには、150億ユーロ分の歳出削減と増税、金利増加分を賄う必要がありるという。この予算調整の規模は、財政赤字をGDP比3%まで削減することで欧州委員会と合意した2009年12月当時に推定されていた調整額の2倍である。

 

アイルランドでこれから起こることは、欧州連合(EU)の将来に関して重要な前例となる。欧州委員会は、ユーロ圏加盟国に共通かつ交渉の余地のない財政赤字削減義務を課す「安定・成長協定(SGP)」を盾に経済統合の長期的存続を目指して奮闘している。 SGPに係るリスクは、共通ルールを加盟各国の経済状況を無視して域内全体に適用すれば、EU首脳らが地域連合を破壊させるかもしれないということである。アイルランドは財政赤字のGDP比率がEUのなかでは最も高く、弱い立場にある。

 

アングラ・メルケル独首相が10月29日、自身が提案した「危機解決メカニズム」に関してEU首脳会議で支持を取り付けたことで、事態は新たな展開を見せた。メルケル草案は、2013年に廃止される予定の欧州金融安定制度(総額4400億ユーロ)の恒久化に賛成する代わりに債券保有者にも将来の救済において損失負担をシェアすることを義務付けるものである。「危機解決メカニズム」案は、危機に陥ったユーロ圏の国々の「秩序ある破産」を求めるものであり、現在、欧州委員会が検討を重ねている。取材時点では全容は明らかになっていないが、米連邦破産法チャプター11の国家版に近く、債務償還繰り延べ、債務国の再建が実現するまでの間の利払い免除、債券保有者の権利の一時停止を含む。この新たな危機対応メカニズムの青写真を取りまとめるのは、ヘルマン・ファン・ロンバウ欧州理事会議長になる。

金利で儲ける手段もあるFX

世界経済に投資する金融商品の中でFXが最も人気があります。いまやその投資家人数は100万人を超えています。FX初心者の方はこれからFX業者選びをするならしっかり、FX比較サイトFXのスプレッドを比較で検討することをおすすめします。有名なFX業者では評判のいいサイバーエージェントのCymoや、FX1000通貨チャートが評判のFXプライムが有名です。

日経平均、ドル円の為替相場(FX)は狭いレンジでの展開になりそうだ。米国市場はiPhoneで有名なアップルなど大手ハイテク企業の決算が好感されたが、これについては織り込み済みである。一方、週間新規失業保険申請数が予想を上回るなど、日本のサプライチェーンの障害が影響している可能性が警戒される。また、グッドフライデー・復活祭によって海外市場が休場に入るため、海外投資家によるオーダーが細ることが考えられ、上値追いの流れは期待しづらい。ただ、下値を売り込む流れにもならないだろう。これまでの経験則から前場段階で大きく下押す局面においては、日銀によるETF購入期待などが下支えとなる。また、大きなインパクトは期待しづらいものの、グッドフライデー・復活祭を前にした、ポジション調整による海外勢からのバスケット買いなども意識されよう。